イタリアがオーストリアに苦戦したように、ユーロ2020も決勝トーナメントまでくると、簡単な試合はありませんね。
優勝候補筆頭のフランスは、スイスと対戦しました。
圧倒的にフランス優位に思えた試合でしたが、3-3となり、PK戦の結果(フランス:4-スイス:5)スイスが勝利しました!
後半終了間際に、スイスが劇的な同点弾を決めて、PK戦までもつれこんでいます。
まさか、決勝トーナメント1回戦でフランスが敗退するとは、思いもよりませんでした。
ハイライト
マッチレポート
試合データ
WhoScored.comより引用しています。
フランス | スイス | |
---|---|---|
得点 | 3(PK4) | 3(PK5) |
ポゼッション | 54.1% | 45.9% |
シュート(枠内) | 26(8) | 12(5) |
パス | 623 | 534 |
クロス | 24 | 15 |
コーナー | 8 | 5 |
シュートブロック | 3 | 6 |
タックル | 17 | 21 |
一時はフランスの勝利を革新しましたが、スイスが驚異的な粘りで、同点に追いつきました。
PK失敗も含めて、フランスはムバッペで負けたような試合でしたね。
前半のフォーメーション変更の影響も大きいですが。
守りに入ったフランス
左SBの、リュカ・エルナンデスとディニュを怪我で欠くフランスは、3バックにして左WBにラビオを起用しました。
3CBの中央は、ユーロ2020初出場となるラングレが務めます。
しかし、この守りに入るスタンスが裏目に出ました。
守備が全くハマらず、スイスにバイタルエリアを面白いように使われます。
ツーバーが中に入った時に、パヴァールも付いてくるため、スイスの左サイドはガラ空き。
そこに、リカルド・ロドリゲスがフリーでボールを持てていました。
フランスは、慣れない3バックかつ、中央を務めるラングレの指示が適切ではなかったため、スムースにスライドができません。
ヴァランは、サイドにマークにいくか、個人で判断しなければならず、後手に回る状況が続いていました。
中盤3枚も、個々の判断でプレスにいくため、スペースが至る所に空いてしまい、スイスの選手に良いように使われていました。
また攻撃は、ムバッペのカウンター頼み。
奪ったらムバッペに渡して、ドリブルで運んでもらいチャンスを作る、という展開が多かったです。
スイスが優位に試合を進める中、貴重な先制点を奪いました。
カウンターからセフェロビッチがミドルシュート。これはブロックされますが、こぼれ球を拾ったツーバーのクロスに、再びセフェロビッチが合わせました。
マークに付いていたラングレは、競り合うこともできずヘディングを決められています。
デシャンの戦術が、完全に裏目に出てしまいましたね。
1点を失い、冷静さを欠くフランスは、攻守にわたってチグハグになっていました。
ポグバやムバッペ、ベンゼマ、ラビオが個人で打開するシーンはありましたが、決定的なチャンスとはなりません。
守備がまったくはまらない状況にイライラしたポグバは、ベンチを睨んでいました。
その状況を察したのか、デシャンはフォーメーションを4バックに変更。
ラビオが、中盤に入っていました。
しかし、得点は生まれず前半終了です。
流れを変えたキャプテン
後半は、ラングレに代えて、コマンが投入されました。
ラングレは、失点にも関与し、踏んだり蹴ったりの内容でしたね。4-4-2のフォーメーションで挑みます。
しかし、後半に入っても、フランスは中々エンジンがかからず、苦戦を強いられます。
ツーバーに突破を許し、パヴァールがPA内でスライディングをして、倒してしまいました。
最初は流されていましたが、VARの結果PKとなります。
キッカーは、リカルド・ロドリゲス。
しかし、このPKはロリスが完璧に読んで止めました。キャプテンが意地のセーブで、チームの窮地を救います。
そして、ここからフランスの反撃が始まりました。
クリアボールを奪ったカンテが、グリーズマンに繋ぎます。
PA手前のムバッペに渡して、裏に走ったベンゼマにパス。
少し身体の後ろに来たボールでしたが、ベルカンプのようなトラップで、自分の手前に落とします。
GKが飛び出したところをかわすように触り、ゴールを決めました。
変態的なトラップでしたね。ユーロ2020のベストゴールになるかもしれません。
勢いに乗るフランスは、さらに逆転弾を奪います。
グリーズマンがムバッペとのワンツーで、PA内に侵入。GKをかわすチップキックを放ち、ベンゼマが押し込みました。
3分足らずで逆転に成功します。
PK失敗から、スイスは流れを持っていかれてしまいました。
不安定さが出てしまい、危険なところでのロストが続きます。
それまでチグハグだったフランスの攻撃が、面白いように繋がり始めました。
ポグバも、距離の長いスルーパスでチャンスを作ります。
そして、またもスーパーゴールが決まりました。
ベンゼマのシュートのこぼれ球をPA手前で受けたポグバが、右足でコントロールシュート。
綺麗な軌道を描き、ゴール右上に決まりました。ゾマーはノーチャンスでしたね。
ポグバはドヤ顔です。
フランスの勢いに押されて、DFラインが下がりきってしまい、ポグバへのマークが遅れてしまいました。
2点差がつき、試合は決まったかに見えました。
しかし、81分にスイスが1点返します。
交代で入ったエンバブが右サイドを突破して、高速クロス。
CBの間に入ったセフェロビッチが頭で合わせて、この日2点目を奪いました。
1点差に迫り、スイスに希望が生まれます。
リカルド・ロドリゲスが右足で放ったシュートのこぼれ球に、バルガスが反応してゴールを奪いましたが、これはオフサイドでした。
惜しかったです。
ロスタイムに入り、このまま試合終了かに見えましたが、ドラマが待っていました。
中盤でポグバからボールを奪い、ジャカが溜めて、バイタルエリアに侵入したガヴラノビッチにスルーパス。
キンペンベをかわして放ったシュートが、ゴール左に決まりました。今度こそ、正真正銘のゴールです。
ラストプレイで、シソコのクロスから、コマンがボレーを放ちますが、ポストを叩きました。
劇的同点弾を決めたスイスが、延長戦に持ち込みます。
決めきれないムバッペ
延長戦に入りますが、スイスはPK戦を狙い、あまり攻撃に力をかけません。
勝ち試合を逃したフランスは、焦りもある中、攻め続けます。
ベンゼマ、コマンの代わりに入った、ジルー、トュラムがチャンスを作りますが、ゴールを奪うには至りませんでした。
しかし、そんな中でもポグバが魅せます。
相手陣内で奪ったボールをダイレクトでスルーパス。
ムバッペに通りますが、左足で放ったシュートは、枠を外れました。
ユーロ2020で得点を奪えてないためか、シュートに精彩を欠いていました。
もし、ドイツ戦のゴールが認められていれば、少し違ったかもしれません。
フランスは、延長戦最大のチャンスを逃し、PK戦に結果を委ねることになりました。
PK戦突入
試合中にPKを止めていたロリスですが、PK戦では読みが当たりません。
ポルトガル戦、2つのPKで、C・ロナウドのシュートと逆方向に飛んでしまい、PK戦では代えた方がいいと言われていたロリスですが、その通りになってしまったようです。
試合中に大事なPKストップを決めているため、代えられる訳はなかったのですが。
先行のスイスは、5人全員が成功。対するフランスも、4人目まで全員が成功させていました。
そして、5人目は、若きエースムバッペです。
左に蹴ったシュートは、ゾマーに完璧に読まれ、止められました。
PK戦も含めて、ムバッペで負けたような試合となりましたね。
選手レビュー
MOMはポグバ
WhoScored.comによる、MOMはポグバでした。
豪快なミドルシュートを含め、スルーパスを何本も通し、チャンスを量産していました。
スイスの3点目では、失点の原因となりましたが、それを補って余りある活躍でした。
ドリブル成功数5回、キーパス数4本はチームトップの数字です。
やはりポグバは、アンタッチャブルな存在ですね。もっとユーロでのプレイが見たかったです。
2ゴールを決めた両エース
フランスのベンゼマと、スイスのセフェロビッチは、どちらも2ゴールを決めて、チームに貢献しています。
ベンゼマの1点目は、変態的なトラップでした。
自分の前に掻き出すのは狙っていたかもしれませんが、あそこまで綺麗にいくとは。
久々の代表復帰でしたが、味方との連携も問題なさそうだっただけに、早期敗退は残念です。
セフェロビッチは、頭で2点を叩き込んでいます。
1点目は、ラングレを完全に無力化していました。
ファウルにならない程度に押してジャンプさせず、ラングレの上からヘディングしています。
2点目も、ヴァランとキンペンベの間に入り、完璧に頭で合わせていました。
正直あまり知らなかったのですが、良いプレイヤーですね。
精彩を欠いたムバッペ
ドリブルでの運びや、1点目のアシスト、2点目のグリーズマンへのヒールの落とし等、ゴール以外では貢献していたムバッペ。
特に、1人でカウンターを成立させる身体能力は驚異的です。
しかし、最後のシュート精度が悪かったですね。
6本のシュートを放ち、枠内に飛んだのは0本です。
中には、決めなければならない決定機が2つありました。
そして、最後のPK失敗と、フランス敗退の直接的な原因となってしまいました。
ユーロ2020でゴールを決めていないプレッシャーがあったのかもしれませんね。
それか、ジルーとの喧嘩が、どこかで尾を引いていたのかもしれません。
ベスト8が出揃う
ブログを書いている内に、ベスト8が出揃いました。
- スイス×スペイン 2021年7月3日(土) AM1:00〜
- ベルギー×イタリア 2021年7月3日(土) AM4:00〜
- チェコ×デンマーク 2021年7月4日(日) AM1:00〜
- ウクライナ×イングランド 2021年7月4日(日) AM4:00〜
フランスを倒したスイスは、スペインと対戦します。
イタリアは、FIFAランク1位のベルギーと対戦です。頑張って欲しいですね
番狂わせが多く、改めてユーロのレベルの高さを実感します。
ユーロは、WOWOWの独占放送です。
では!