2011年4月、チャンピオンズリーグのインテル対シャルケを見ていた私は度肝を抜かれました。
当時シャルケのゴールキーパーを務めていた名手ノイアーが、ペナルティエリアを超えてヘディングでボールをクリア。
センターサークル内にいたインテルのスタンコビッチがダイレクトでボレーシュートを放ち、50m以上の超長距離シュートを決めたのです。
10年以上の月日が流れ、今節行われたインテル対フロジノーネを見ていた私は、あの時と同じような衝撃を受けることになりました。
フォーメーション
圧巻の個人技
- 攻守のキーマン
- 左足で飯を食う男
- 個で組織を破壊
- フロジノーネの救世主
攻守のキーマン
まずは、対戦相手のフロジノーネの守備から見ていきます。
この試合でフロジノーネは、3-4-3のフォーメーションを敷いていました。
シモーネが試合後に「予想と異なるシステムを敷いていた」と言っていたので、インテル用のシステムを用意したようです。
しかしインテルの基本フォーメーションは3-5-2なので、フロジノーネは守備の際に中盤の人数が不足します。
試合を見ているとマッツィテッリがムヒタリアン、バレネチェアがチャルハノールをマークしていたので、バレッラへのマークが足りていませんでした。
そこで左センターバックに入ったマルキッツァが、一列上がってバレッラをマークしていました。
次にインテルですが、攻守のキーマンになっていたボランチのチャルハノールを中心に見ていきます。
チャルハノールは、基本的にバレネチェアにマークされていました。
それに加えて、ワントップのクニーがチャルハノールへのパスコースを消しており、前後からプレッシャーを受ける形になっていました。
このプレッシャーを回避するため、チャルハノールは一列下がるというポジショニングを多用していました。
フロジノーネは陣形が崩れることを嫌ったのか、ディフェンスラインまで下りたチャルハノールを追ってはこなかったです。
そこで自由を得たチャルハノールは、高精度のロングパスからチャンスを作っていました。
続いてインテルの守備です。
猛牛のようにボールホルダーに襲いかかる守備はしないインテルですが、相手のゴールキックなどの際は高い位置からプレスをかけていました。
その時に第1陣と第2陣のプレスを躱されて、最終ラインの前のスペースを使われることがありました。
チャルハノールが、バレネチェアに釣り出される形ですね。
ただ高い位置から奪ってカウンターもできていたので、ハマればチャンスになる守備でした。
左足で飯を食う男
前段でシステムについて色々と書きましたが、この試合でインテルが奪った2得点は個の力によるものでした。
1点目を決めたのは、ディマルコです。
正直最近のディマルコを使うなら、ブラジル代表にも選ばれたカルロス・アウグストの方が良いのではないかと思っていました。
ディマルコといえば左足のトラップとキック精度の高さが武器ですが、今シーズンは味方へのクロスが合わないことが多かったからです。
この試合でも序盤はミスパスがあったり、クロスが大きくなったりと精彩を欠くプレイが続きました。
しかし、43分に私の手のひらを返す時が訪れました。
センターライン付近で受けたディマルコが、56mに及ぶ超ロングシュートを決めたのです。
ドゥンフリースに出そうと思ったけど、ゴールキーパーが出ているのが見えて狙ったそうです。
ディマルコの左足には、ロマンが詰まっていますね。
その後は惜しいクロスを何本も上げたり、バレッラに変態スルーパスを通したり、精度の高いプレイを連発していました。
個で組織を破壊
2点目を取るぞと始まった後半ですが、テュラムの個人技からインテルに早々に追加点が生まれました。
センターライン付近でバストーニの何でもないロングボールを受けたテュラムは、1人躱してPA内に侵入。
2人目も難なく躱すと、3人目を抜いた所で倒されPKを獲得しました。
いつ見ても派手なパンツを履いていますが、まさに個で組織を破壊するようなプレイでした。
テュラムはヨーロッパ全体を見渡しても、今夏のベスト補強の一人にあげられそうですね。
今までインテルにいなかったドリブラー要素に加え、柔と剛を兼ね備えたポストプレイも得意とし、重要な試合でゴールを決める勝負強さも持ち合わせています。
テュラムが奪ったPKは、しっかりとチャルハノールが決めました。
フロジノーネの救世主
2点差を追いつくためにフロジノーネが頼ったのが、チーム内トップスコアラーのスーレでした。
ユヴェントスからレンタル移籍している左利きの選手で、現在5得点をあげています。
スーレは右のウィングに入りましたが、5-3-2のブロックの外側でボールを受けていました。
そこからカットインしつつシュートやラストパスを狙ったり、大外のレーンを空けてウィングバックを使ったりしていました。
スーレはドリブル成功数5回、キーパス5本とどちらもゲームを通じてトップの数字を記録しています。
ただインテルの守備ブロックは固く、結局ゴールは生まれませんでした。
インテルが2-0で勝利しています。
ハイライト
試合データ
WhoScored.com・SofaScoreより引用しています。
インテル | フロジノーネ | |
---|---|---|
2 | 得点 | 0 |
47.1% | ポゼッション | 52.9% |
21(6) | シュート(枠内) | 12(3) |
6 | ブロックされたシュート | 3 |
9 | コーナー | 4 |
5 | ビッグチャンス | 0 |
3 | GKのセーブ | 4 |
483(412) | パス(成功数) | 543(471) |
18(6) | クロス(成功数) | 13(4) |
15(11) | ドリブル(成功数) | 16(7) |
113 | ボールロスト | 124 |
11 | 競り合い勝利 | 29 |
20 | タックル | 9 |
9 | インターセプト | 7 |
18 | クリア | 15 |
インテル | 2-0 | フロジノーネ |
---|---|---|
35' | ブレシャニーニ マッツィテッリ | |
ディマルコ | 43' | |
チャルハノール | 48' | |
55' | ケディラ クニー イブラヒモビッチ リロラ | |
デ・フライ ドゥンフリース | 61' | |
フラッテージ ムヒタリアン アルナウトビッチ テュラム | 70' | |
71' | ブレシャニーニ | |
カルロス・アウグスト ディマルコ センシ チャルハノール | 82' | カイオ・ジョルジ レイニエル カソ バレネチェア |
アイコンの説明
ゴール
イエローカード
投入
オウンゴール
レッドカード
交代
次節はユヴェントス戦(A)
圧倒的な個の力でインテルがフロジノーネを下し、リーグ戦4連勝で首位をがっちりキープしました。
代表ウィークが明けたら、次はユヴェントスとの天王山です。
昨シーズンの借りを返して、優勝に向けて突っ走りたいですね。
2023/11/26(日) 28:45キックオフです。
では!