批判する相手や対象を探すとき、
おそらく一番たやすいのは財布の中身でしょう。
概念を広げると、市場の動向に対して批判を行う場合、
最も簡単な方法は、不当な金額で支払ったにもかかわらず、
その価値に見合うリターンを出せていない選手の
品質と価格の乖離に切り込むことです。
また、試合に出場が少ないにも関わらず、
高額な費用をかけて獲得した選手がいる場合、
なぜそのような金額を費やしたのかと疑問を投げかけることもできます。
インテルの今シーズンの話題は、言うなればこの後者に当てはまります。
エンポリ戦では、市場が閉まる直前に獲得された
トマス・パラシオスが数分間出場しました。
移籍金は650万ユーロで、インテルはこの若者に
将来性を見出しています。
タジョン・ブキャナンは、インテルのアズーリ監督の判断を待つだけですが、
シモーネ・インザーギのチームでまだ公式戦に出場していないのは、
夏の間にジェノアから1500万ユーロで獲得したスペイン人GK、
ジョゼップ・マルティネスだけです。
多額の費用を投じたにも関わらず、
期待に応えられていないというのが現状です。
ラス・パルマスとRBライプツィヒでの活躍が期待されていましたが、
プレシーズンマッチでは活躍を見せたものの、
公式戦ではベンチを温める日々を送っています。
ヤン・ゾマーに代わって1番手になるのは、
少なくとも今シーズンは難しいと予想されていましたが、
それはスイス人GKのここ最近の活躍を踏まえると想定の範囲内でした。
しかし、これまでマルティネスが、所謂容易な試合であっても
出場機会を与えられていないのを見ると、
「全員が必要だ」と繰り返し述べているインザーギの言葉にも
鼻白むファンは少なくありません。
彼らは、元バイエルン・ミュンヘンの選手が謎めいた今季のスタートを切っていることにも疑問を呈しています。
少なくともリーグでは、安定感は影を潜めています。
「Footystats」のデータによると、
今季セリエAの序盤で失点した平均は1.09で、
昨シーズンのほぼ倍に上っています。
被シュートに対するセーブ率も、昨年の81%近くに達したのに対し、
今年は69%に届きません。
ジェノア戦でアレッサンドロ・ヴォリアッコに決められたゴールや、
ユベントスとの4-4のドローでケナン・イェルディズの決めた2点目など、
重い判断ミスを犯したり、反応が鈍くゴールを守れなかったケースも目立ちます。
そのため、サポーターの間では、今季の限られた資金の大半を、
これまでほとんど活躍の機会がない選手に費やすことに疑問が生じています。
サン・シーロで行われたベネツィア戦で、
インテルで育ったフィリップ・スタンコヴィッチが高いレベルのプレーを見せたことも、
その疑問に拍車をかけています。
スタンコヴィッチをキープし、資金を他の補強に充てられなかったのでしょうか。
この疑問に対する答えは非常に単純です。
スタンコヴィッチは2002年生まれの有望株ですが、
ラクーナでジェシー・ヨロネンに代わる前は、
相当な時間を待たなければなりませんでした。
また、インテルよりも格下のクラブで2番手として、
セリエAの舞台を経験する方が、
若者にとってより賢明な選択でしょう。
ジョゼップ・マルティネスはインテルの将来の守護神と考えて間違いないでしょう。
インテルは彼を今すぐ獲得することで、
非常に長期的な計画を実現しようとしています。
そのため、バレンシア州の中心部にあるアルズィラ出身のGKが、
トップチームへの道筋を進むのに、少し時間はかかるかもしれません。
また、ミスがあったとしても全体的なパフォーマンスが優れているゾマーに対して
辛辣になりすぎるべきではありません。
チャンピオンズリーグでは、リーグ戦の半分が終了しても無失点であり、
必要とされたすべての場面で100%のセーブ率を記録しています。
アーセナル戦のように、DF陣が壁のように機能したケースもあります。
リーグ戦でも、ユベントスとのSFのような試合の後、
状況は大きく好転しました。
日曜日にスコット・マクトミネイに決められたゴールは、
エンポリ戦とベネツィア戦でのクリーンシートを挟んで
失点したのはそれだけです。
ゾマーのパフォーマンスは、ある意味ではインテルの守備陣のパフォーマンスを反映しています。
しかし、インテルのスタッフは、スイス人の選手にまだまだ期待できると思っています。
ペポ(マルティネス)の出番は、いずれ訪れるでしょう。