サッカー観戦で一番楽しめるのが、派手に撃ち合って沢山ゴールが決まる試合です。
ディフェンス陣で安全なパスを回すばかりで、スコアが動かない試合は退屈だと感じる人も多いでしょう。
今節のユヴェントス対インテルも、ゲームがあまり動かない渋い試合になりました。
シュート数は、両チーム合わせても12本です。
しかしこの引き締まったゲームの中でも、随所に緊張感ある駆け引きが行われていて、通好みの面白い試合になっていました。
フォーメーション
我慢比べの試合
- マッケニーのプレスによって生まれるギャップ
- 予想外の失点と華麗な同点弾
- 後半は我慢比べ
- 嫌われ者だけど上手いクアドラード
マッケニーのプレスによって生まれるギャップ
まずはリーグNo2の失点の少なさで堅守を誇る、ユヴェントスの守備から見ていきます。
フォーメーションはインテルと同じ3-5-2で、ミラーゲームになりました。
久々にDAZNのインテル戦で解説を担当した細江さんが注目していたのが、インサイドハーフのマッケニーのプレスによって生まれるギャップでした。
マッケニーが左センターバックのアチェルビにプレスをかけることで、中盤にスペースが生まれてインサイドハーフのムヒタリアンがフリーになります。
そのムヒタリアンを誰がマークするのかがポイントでしたが、主に右センターバックのガッティが担当していました。
このプレス方法ですが、インテル目線から見ると受けられる恩恵が2つあります。
1つ目は前述の通りですが、マッケニーとガッティが一列ずつ上がってプレスするために、ムヒタリアンがフリーになりやすいことです。
実際17分23秒と30分25秒に、ムヒタリアンが中央の狭いスペースで縦パスを受けて攻撃に繋げるシーンがありました。
このムヒタリアンのような繊細なポジショニングは、フラッテージにはまだ難しそうですね。
フラッテージがムヒタリアンからポジションを奪うには、ペナルティエリア内での仕事だけでなく、ボールをゴール前に運ぶためのプレイの質を上げる必要がありそうです。
ムヒタリアンから技術を盗んで、我慢強く成長を続けて欲しいです。
さて、話がずれたので戻します。
2つ目に受けられる恩恵が、ガッティが上がることで2トップがユヴェントスのセンターバックと数的同数になることでした。
身体能力が高くドリブルを得意とするテュラムが、1対1で仕掛ける状況を作ることができます。
ただユヴェントスもそこを警戒したのか、良い形でテュラムが仕掛けるシーンはあまり作れませんでした。
ディマルコあたりが確率の低いパスを狙うことが多かったので、もっとシンプルにテュラムを使えばなと思いながら見ていました。
予想外の失点と華麗な同点弾
序盤はややユヴェントスに押し込まれたインテルですが、我慢を続けて徐々にゲームをコントロールし始めていました。
しかし27分に、ふとしたミスからユヴェントスに失点を許します。
ハイプレスをかけてシュチェスニーにクリアさせたボールが、ドゥンフリースの元に飛んできます。
フリーだったのですが、胸トラップが大きくなってしまいヴラホヴィッチに奪われました。
左サイドに開いたキエーザにボールが渡り、縦に仕掛けられます。
グラウンダーのクロスを入れられて、飛び込んできたヴラホヴィッチにダイレクトシュートを決められました。
ドゥンフリースは代表戦の疲れがあったのか、この試合ではボールの扱いが雑でした。
早い時間帯にもドゥンフリースのトラップミスからショートカウンターを受けかけましたが、2度目のミスは許してくれませんでしたね。
予期せぬ失点を喫したインテルですが、すぐに同点に追いつきました。
ユヴェントスのハイプレスを躱すように、ゴールキーパーからショートパスを繋ぎます。
ゾマー、ドゥンフリース、バレッラ、テュラムとワンタッチパスで繋ぎ、テュラムが右サイドを突破してグラウンダーのクロス。
ペナルティエリア内でガッティを躱したラウタロが、ワンタッチで合わせてゴールを奪いました。
🥶 Marcus Thuram x Lautaro Martínez! 🔵⚫️ pic.twitter.com/YjklYCwJYd
— EuroFoot (@eurofootcom) November 27, 2023
後半は我慢比べ
前半は一進一退の攻防が続きましたが、後半は静かな試合展開になりました。
両チーム3位以下を突き放していることから、最悪ドローでも良いと考えたのかもしれません。
インテルが狙っていたのは、高い位置からプレスをかけてくるユヴェントスを自陣深くまで釣り出し、手薄となった後方を攻略するというものでした。
そこで活用したのが、ゴールキーパーのゾマーです。
ゾマーにボールを持たせて相手に食いつかせることで、空いた裏のスペースにボールを運ぼうとしていました。
逆にユヴェントスは、ボールに食いつきすぎて余計なスペースを作らないように注意すると同時に、ショートカウンターからゴールを狙っていました。
食いつかせたいインテルと、餌にかからないようにするユヴェントスとの我慢比べになり、静かながらも緊張感のある展開になっていました。
嫌われ者だけど上手いクアドラード
古巣対決となったクアドラードですが、70分にユヴェントスファンのブーイングを受けながら、アリアンツ・アレーナのピッチに戻ってきました。
8シーズン過ごしたユヴェントスを離れ、今夏にインテルに移籍してきた選手です。
対戦相手として度重なるシミュレーションやラフプレイを見てきたので、当時は獲得に反対するインテルファンも多くいました。
それでも出場すれば「やっぱ上手いな」と思わされるプレイが多く、我慢していたファンも徐々に受け入れるようになりました。
この試合でもドゥンフリースがいまいちだったことも相まって、クアドラードのテクニックが際立っていました。
囲まれた際にボールを奪われない技術、ファウルのもらい方や飛び込んできた相手の躱し方など、随所に「おおっ!」となるプレイを見せていました。
ユヴェントスファンからブーイングを受けた際にニヤニヤするメンタルも含め、少しずつインテルに必要な選手になっています。
怪我による離脱が多いので、もう少し稼働率を上げて欲しいですね。
Quel sorriso
— LemonTommy (@TommyS1116) November 27, 2023
Quel maledetto sorriso #Cuadrado pic.twitter.com/E2C9n1ZFb7
後半は結局ゴールが生まれず、1-1のドローで試合は終了しました。
ハイライト
試合データ
WhoScored.com・SofaScoreより引用しています。
ユヴェントス | インテル | |
---|---|---|
1 | 得点 | 1 |
34.5% | ポゼッション | 65.5% |
4(1) | シュート(枠内) | 8(4) |
0 | ブロックされたシュート | 0 |
1 | コーナー | 0 |
1 | ビッグチャンス | 1 |
3 | GKのセーブ | 0 |
389(322) | パス(成功数) | 751(680) |
10(1) | クロス(成功数) | 9(3) |
12(6) | ドリブル(成功数) | 8(3) |
111 | ボールロスト | 105 |
33 | 競り合い勝利 | 38 |
11 | タックル | 13 |
12 | インターセプト | 11 |
9 | クリア | 10 |
ユヴェントス | 1-1 | インテル |
---|---|---|
カンビアーゾ | 11' | |
ヴラホヴィッチ | 27' | |
33' | ラウタロ | |
ロカテッリ カヴィーリャ | 61' | |
70' | カルロス・アウグスト ディマルコ クアドラード ドゥンフリース | |
75' | クアドラード | |
コスティッチ | 79' | |
ミリク キエーザ ケアン ヴラホヴィッチ | 80' | |
83' | アスラニ チャルハノール | |
サンドロ コスティッチ | 89' | フラッテージ バレッラ アルナウトビッチ テュラム |
アイコンの説明
ゴール
イエローカード
投入
オウンゴール
レッドカード
交代
次節はベンフィカ戦(A)
前半戦の天王山をドローで終えて、インテルが首位をキープしました。
次節はチャンピオンズリーグのグループステージで、ベンフィカと対戦します。
ここはターンオーバーして、その次のナポリ戦に備えたいですね。
2023/11/29(水) 29:00キックオフです。
では!