サッカー界では、解任ブーストという言葉をよく耳にします。
成績不振で監督を交代したチームが、しばらく上昇気流に乗ることです。
前節対戦したローマも、デ・ロッシが監督になってから勢いを増していました。
しかし、監督交代が毎回よい方に働くわけではありません。
戦術を選手に落とし込む時間がないため、準備不足のまま試合を迎えることもあるでしょう。
今節インテルが対戦したサレルニターナも、チームとしての練度が不足していました。
フォーメーション
練度の差
- 練度の差
- 間延びするブロック
- 次の試合を見据える
- ブキャナンのデビュー
練度の差
成績不振でフィリッポ・インザーギ監督を解任した、最下位のサレルニターナ。
今節は、リビラーニ監督の初陣となりました。
その状態でインテルと戦うには、あまりにも準備が不足していたようです。
サレルニターナは、基本フォーメーションが3-4-2-1でした。
ボール保持時の基本線は、ワントップに入ったチャウナへのロングボール一本。
しかしハイプレスを受けた状態でのロングボールが多く、インテルのディフェンス陣は準備万端です。
チャウナの空中戦勝利数は0回と、収まるシーンは皆無でした。
ボール非保持の際は5-3-2となりますが、ここでもインテルとの練度に差がありました。
チャウナがデ・フライ、ディアがチャルハノールを見るというルールはあったようですが、パヴァールとバストーニのマークが曖昧でした。
ミドルゾーンで持った時にプレスをかけてこないため、インテルの両サイドのCBはフリーでボールを運ぶことができます。
ある程度まで運ぶと、インサイドハーフに入ったカンドレーヴァとバシッチが対応に来ますが、そうするとバレッラとムヒタリアンが空きます。
そこは、3バック両脇のパサリディスとペッレグリーノがスライドして対応するのですが、マークの受け渡しにタイムラグがありました。
自分が応援するチームながら、インテルの中盤に高い位置で時間を与えると危険です。
当然インテルがボールを保持する展開になり、序盤から多くの決定機を作りました。
初手のCKでテュラムがポストを叩くシュートを放つと、5分にはバストーニのロングボールに抜け出してバレッラが決定機を迎えます。
ここは外してしまいますが、ドゥンフリース、パヴァール、バレッラの右サイドのユニット+チャルハノールのサポートによる攻撃が、抜群に効いていました。
決定機が決まらず一抹の不安を感じていると、17分に先制点が決まりました。
カルロス・アウグストが左サイドを縦に突破して、マイナスのクロス。
ラウタロが引っ張って空けた手前のスペースで、テュラムが合わせてゴールを奪いました。
ゴールにニヤニヤしながら、SNSを漁っているといつの間にかに2点目が決まっていました。
巻き戻して見ると、カルロス・アウグストの自陣からのロングスローに、裏抜けしたラウタロがPA手前からゴラッソを沈めていました。
ラウタロはこれで大台の20点に乗せ、得点ランキングを独走中です。
インテルでの通算得点記録は125点となり、イカルディを抜いて単独8位に浮上しました。
間延びするブロック
2点先行後も、相変わらずインテルペースで試合は進みます。
何か変化を加えないといけないと考えたのか、サレルニターナは25分を過ぎたあたりからハイプレスをかけるようになりました。
これが監督からの指示なのかは不明ですが、ここでも準備不足が露呈します。
1、2列目は高い位置からプレスをかけるのですが、後ろが連動しきれていませんでした。
連動性のないプレスは、無駄にスペースを生むだけです。
5-3-2のブロックが間延びして、広大なライン間のスペースをインテルの選手が使えるようになりました。
練度の低いプレスでインテルの攻撃陣を止めるのは難しく、前半の締めとなる3点目が生まれました。
ライン間で縦パスを受けたラウタロが、ポケットに入ったバレッラにスルーパス。
折り返しのボールがこぼれて、ドゥンフリースが押し込みました。
次の試合を見据える
後半開始から、インテルに交代はありませんでした。
しばらく様子を見ていましたが、特に問題ないと考えたシモーネは、CLのアトレティコ戦に備えることにしたようです。
60分に2トップと労働過多のムヒタリアンを休ませ、アルナウトビッチとサンチェス、クラーセンが投入されました。
そこから少し攻撃のスムーズさはなくなりますが、ゲームの支配力にさほど変化はありませんでした。
アルナウトビッチが何度も裏抜けを狙い、サレルニターナのDFラインにプレッシャーを与え続けます。
67分にはチャルハノールを下げて、アスラニを投入。
続々と主力を休ませ始めました。
ブキャナンのデビュー
77分にバストーニとの交代で、遂にブキャナンが左WBでデビューしました。
強豪との連戦が続いたこともあり、1月に獲得してから中々出番がありませんでした。
ブキャナンはファーストプレイが、名刺代わりとなります。
左サイドでアスラニのロングボールを受けると、1対1で仕掛けてPA内に侵入。
サンビアに後ろから倒された様に見えましたが、PKはもらえませんでした。
前評判通り、スピードがあってドリブルが得意な選手のようです。
これで左足も使えるなら、ハキミのような右WBになれるのではないでしょうか。
首位キープ、主力の休養、ブキャナンのデビューと理想の試合の締めはアルナウトビッチでした。
カウンターからサンチェスのパスを受けたドゥンフリースのクロスに合わせて、アルナウトビッチが押し込みました。
ゴールと同時に試合終了のホイッスルが鳴り、4-0でインテルが快勝しました。
ハイライト
試合データ
WhoScored.com・SofaScoreより引用しています。
インテル | サレルニターナ | |
---|---|---|
4 | 得点 | 0 |
72.8% | ポゼッション | 37.2% |
26(10) | シュート(枠内) | 1(0) |
6 | ブロックされたシュート | 0 |
18 | コーナー | 0 |
6 | ビッグチャンス | 0 |
0 | GKのセーブ | 7 |
632(586) | パス(成功数) | 250(190) |
47(12) | クロス(成功数) | 1(0) |
7(4) | ドリブル(成功数) | 10(1) |
100 | ボールロスト | 86 |
44 | デュエル勝利 | 19 |
14 | タックル | 5 |
7 | インターセプト | 5 |
2 | クリア | 36 |
インテル | 4-0 | サレルニターナ |
---|---|---|
テュラム | 17' | |
ラウタロ | 19' | |
24' | ボアテング マッジョーレ | |
ドゥンフリース | 40' | |
アルナウトビッチ ラウタロ サンチェス テュラム ムヒタリアン クラーセン | 60' | |
65' | レゴウスキ クリバリ ワイズマン ディア | |
アスラニ チャルハノール | 66' | |
71' | チャウナ | |
ブキャナン バストーニ | 77' | |
83 ' | シミー チャウナ カスタノス ザノーリ | |
アルナウトビッチ | 90' |
アイコンの説明
ゴール
イエローカード
投入
オウンゴール
レッドカード
交代
次節はアトレティコ・マドリード戦(H)
リーグ戦6連勝で、2位ユヴェントスとの勝ち点差を9に広げました。
未消化分のアタランタに勝てば、勝ち点は12にまで広がります。
スクデット獲得に向けて、視界は良好ですね。
次はCLの決勝トーナメントラウンド16で、アトレティコ・マドリードをホームに迎えます。
2024/2/20(火) 29:00キックオフです。
非常に楽しみな試合ですね。
では!