2シーズン前に最終節までもつれた結果、スクデット争いに敗れたインテル。
同じ街のライバルであるミランに優勝を持っていかれて、悔しい思いをしました。
今シーズン、その雪辱を晴らす最大のチャンスが訪れます。
第33節、ミランを倒せば優勝が決まるという、絶好のシチュエーションとなりました。
フォーメーション
2つ目の星
- ミランの奇策
- バレッラへの対応
- 圧を受ける中で
- 2つ目の星
※各データは基本的にFBREFを参照
ミランの奇策
ミラノダービー5連敗中のミランのピオリ監督は、奇策を仕掛けてきました。
1つ目が、中盤であるムサの右サイドハーフ起用です。
これは、守備面を考慮した配置だったと考察します。
ミランは守備時に、5−3−2(5−2−3?)気味のブロックを作って守っていました。
それは、以下のボール非保持時の平均ポジションを見ても分かります。
※セリエA公式より引用
ここで、5バックの右に入るのがムサでした。
攻撃時は右のサイドハーフですが、守備時は右WBです。
ネガトラ、ポジトラの意識が大事になりますが、その辺りを意識してムサを右に配置したのではないでしょうか。
2つ目が、レオンの配置です。
4−2−3−1のフォーメーションは普段通りですが、ワントップに入ったのがウィンガーのレオンでした。
いつもは前線の起点になれる、ジルーが務めているポジションです。
こちらに関しては、意図が分からず...
レオンは前線の起点になれず、孤立する場面が多くありました。
ミランは攻撃時に3バックになって、左SBのテオを押し上げます。
テオとムサで幅を取り、プリシッチが中のレーンに入りインサイドハーフ化。
アドリがボランチでボールを散らして、ロフタスチーク、ラインデルス、プリシッチでボールを繋ぐ役割をこなしていました。
※セリエA公式より引用
この3人が下がってボールを引き出すため、レオンが前線で孤立することが多かったです。
ボールに触れないレオンは左サイドに流れたり、2列目に降りたりして、前線に人がいなくなる状況が生まれていました。
結果的にボールの流れは、サイドに偏ることに。どちらかというと、右サイドのムサにボールが集まりました。
必然、ムサが単騎で仕掛けてクロスを上げる場面が多くなります。
以下の表を見ても、ほぼ右サイドからクロスを上げていたことが分かります。
※セリエA公式より引用
クロスの数を見ても、ムサがトップの7本(2位はレオンの5本)でした。
ムサにどんどん仕掛けさせたかったのかは分かりかねますが、ゲーム内容を鑑みてもピオリの奇策はハマらなかった印象です。
バレッラへの対応
前述の通り、ミランは5−3−2気味の守備ブロックで守っていました。
前半はハイプレスをかけてこずに、ミドルサード付近で守備ブロックを作ることを優先。
つまり、ゾーンでの守備です。
その中で、1人だけマンマーク守備を任されている選手がいました。それがアドリです。
マークの相手はバレッラでした。
昔でいう、ブロゾビッチへのマンマークと同じ対応ですね。
今シーズンのインテルのサッカーにおいて、バレッラは中心的な役割を果たしています。
積極的にボールに寄ってビルドアップの出口になったり、逆サイドに移動して局所的な数的優位を作って崩したり。
この試合のスタッツを見ても、幅広くピッチを動いていたことが分かります。
※Sofascoreより引用
ピオリは、そこを潰そうとしてきました。
バレッラの移動に対して、アドリはかなり深追い。しかし、アドリが移動するとそこにスペースが生まれます。
バレッラはオフザボールでもチームに貢献できるので、アドリを引きつけて味方にスペースを作る動きも秀逸でした。
圧を受ける中で
重要なミラノダービーですが、先制点は18分にインテルに生まれましたた。
CKをニアでパヴァールが逸らして、アチェルビが押し込みました。
その後もインテルが多くのチャンスを作り、前半を終えます。
そして後半。
前半はあまりプレスをかけてこなかったミランですが、後半はスタートからプレスを強めてきました。
インテルは自陣に釘付けになります。
クリアボールを拾われて、2次攻撃を受ける悪循環に陥りかけていました。
しかし、49分に追加点を取ることに成功。
バストーニのロングボールに抜け出したテュラムが前線でキープ。
ムヒタリアンへのパスはカットされるも、自ら拾い直してカットインからミドルシュート。
グラウンダーのシュートがメニャンを破りました。
ゴール期待値は0.04の、高難度のシュートです。
この追加点は大きかったですね。
同点を目指して勢いに乗ろうとしたミランの、出鼻を挫きました。
その後もインテルは攻撃を受ける展開が続きますが、余裕を持って対応することができました。
2つ目の星
耐える展開が続くインテルですが、79分に失点してしまいます。
クロスボールをレオンが折り返し、ガッビアがヘッド。
ゾマーがビックセーブで防ぐも、トモリに押し込まれました。
しかし、その後は同点弾を許さずインテルが凌ぎ続けます。
すると、イライラを募らせたミランが愚行に走りました。
まず、ファウルを受けたフラッテージに、なぜかアフターチャージをしてきたテオ・エルナンデスが、ドゥンフリースと揉み合いになり2人とも退場。
続けて、CK時にカラブリアがフラッテージの顔面を殴って退場しました。
間接的に、2人を退場させたフラッテージ。
終盤に荒れたものの、最後までインテルが守り切って、3シーズンぶり20回目のスクデット獲得が決まりました。
試合終了のホイッスルが鳴った後、ベンチからメンバーも飛び出して全員で喜びを爆発させていました。
その中で、ピッチにうずくまって涙を流す10番の姿。
今シーズンからキャプテンを務めるラウタロです。
2シーズン前は後一歩でスクデットを逃し、昨シーズンはCLファイナルで敗れて、ラウタロは悔し涙を見せていました。
ようやく報われましたね。今度は嬉し涙を見ることができました。
キャプテンとしてのプレッシャーも凄かったことでしょう。お疲れラウタロ。
ハイライト
試合データ
※セリエA公式より引用
次節はトリノ戦(H)
5試合を残して優勝を決めたインテル。
残りは消化試合になりますが、ラウタロの得点王やクリーンシート数など、記録へのチャレンジが残っています。
次節はトリノと対戦します。
2024/4/28(日) 19:30キックオフです。
では!